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日本の里100選に選ばれた上世屋集落は豊かな自然に恵まれ、里山のもつ伝統的・文化的資源や景観が今尚まとまった形で残されています。
市街地から近距離にあるとはいえ、標高が高く豪雪地であることから近年特に過疎化が進み、その保全が求められています。特に棚田などの維持管理に労力を要する事は外部の助けが無いと維持が出来なくなり、最近ではNPOの「里山ネットワーク世屋」や「合力の会」などが活躍されています。
豊かな自然や心を癒す里山の景観から訪れる人は増えましたが、地元の方々にとっては生活の場であり糧でもあるので、訪れる者はマナーを守って散策する必要があります。

上世屋集落に入る前に迎えてくれるのが棚田の中にこんもりと茂る木々に囲まれた「世屋姫神社」です。さらに進むと六地蔵があり集落へと入ります。 |
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■ 笹ぶき民家 ■
集落には多くの笹ぶき屋根の民家が残っていますが、葺き替えに大変な手間が掛かるため、現在では大半が上からトタンで覆われています。このような屋根の材料となる、チガヤ、ススキ、 ムギワラ、ササ類を総じて茅(かや)と呼び、一般的には かやぶき屋根と言いますが、上世屋では身近に豊富にあるチマキザサが主に使われており、笹ぶき屋根とも呼ばれています。
写真の民家は老巧化で荒廃していたのをNPOや学生ボランティアが2年がかりで葺き替え作業を行い、2008年に葺き替えが終わったものです。
■ 藤 織 り ■
藤織りは藤づるの中皮に含まれる繊維から出来た糸で織られた布で、弥生時代の古代から伝 わる織物です。世屋では大正の末頃まで日常的に織られ、擦れや熱に強い特徴を生かし、米袋や豆腐・醤油をしぼるネジリ袋など、生活に密着した織物として使われて来ました。しかし近年では価格の安い木綿・麻や化繊の普及により、手間の掛かる藤織りは作られなくなり、伝統技術も忘れ去られようとしていました。
1989年には丹後藤織り保存会が発足し、91年に保存会は京都府の指定する無形民俗文化財「丹後の藤織り」として、伝承活動を続けられています。

活気に満ちていた上世屋小中学校も、今では過疎化から廃校となりましたが、「藤織り伝承交流館」として利用されています。
■ 棚 田 ■
山間では平坦な土地が少なく、傾斜地に段々のように水田が造られています。作業効率の悪さから、全国的に耕作の放棄が進んでいますが、ここ上世屋でも1975年に1405枚あった棚田が2004年には311枚にまで減少しました。

上世屋の一部の棚田では「コナワ」と呼ばれる珍しい仕組みが見られます。水温の低い湧水を利用する柵田では、田の周りに用水を循環させ、地温で水を温めてから田に 入れる工夫がされています。
世屋のお米は昼夜の温度差や清水によって美味しいお米が出来ると言われています。近年では昔ながらの手植えや稲木干しによる米作りに加え、再生紙黒マルチ農法による無農薬栽培が取り入れられ、安心・安全で美味しい米作りに努力されています。
■ 観音堂と銚子の滝 ■
上世屋にある観音堂は成相寺奥の院とも呼ばれ、『その昔、世屋山中に毎夜灯りが見えると の噂を聞いて山に入った眞應上人(しんのうしょうにん)が大四手の樹の下に光輝く観音像を見つけた。数々の霊験により成相観音と呼ばれ、その慈悲にすがる善男善女により上世屋が出来た』との伝承があります。その後観音像は2体になり、1体が西国28番札所成相寺の本尊に、1体が上世屋に祭られたと伝えられます。
■ 見つけた野の花 ■ |

ミゾソバ |

ツリフネソウ |

ゲンノショウコ |

ツユクサ |
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イヌタデ |
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