安寿姫の化身、ニオイコブシの咲く頃

ニオイコブシ(タムシバ) ブラタンゴ

残雪が解け、代わりに山肌が白く染まる頃が、安寿姫の化身ニオイコブシの咲く季節です。

ニオイコブシ(タムシバ)の咲く建部山の麓には、悲しい民話として知られる安寿と厨子王の安寿姫の塚があります。

安寿と厨子王の話は、中世に成立した説教節「さんせう太夫」を原作として浄瑠璃などの演目で演じられてきたものを、縁のある地で民話化され、近世になり絵本などを媒体にして児童文学となったものが伝わっています。

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由良川の畔にある安寿姫の塚を守る地域の人々は、建部山を白く染めるタムシバの花の事を、親しみを込めてニオイコブシと呼んでいます。

コブシとニオイコブシ(タムシバ)の違いは、花のすぐ後ろに葉が一枚あるか無いかで見分ける事が出来ます。

また、ニオイコブシ(タムシバ)は枝や葉を噛むと爽やかな香りと独特の甘みがあり、山作業の合間に噛まれた事から、(噛む柴)が転じてタムシバと呼ばれるようになったとも言われています。

タムシバの木から薫る爽やかな香りと純白の清楚な花を、安寿姫の化身として、ニオイコブシと呼ぶようになったのはうなずけますね。

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